「えっ、ここって飾りじゃなかったの?」
友達と家でお茶をしていた時、何気なくピノの箱を開けた。
6個並んだアイスを見て、私はいつものように付属の青いピックを取り出した。
1個目を食べ終えたところで、少し困った。
まだ残っているけれど、飲み物も飲みたい。
「このピック、どこに置こう……」
テーブルに直接置くのはなんとなく嫌だし、箱の端に置けば転がってしまう。
私はいつも、次のピノにそのまま刺していた。
すると向かいに座っていた友達が、当たり前のような顔で言った。
「え?そこに置けばいいじゃん」
「そこってどこ?」
友達が指さしたのは、ピノとピノの間にある小さなくぼみだった。
今まで何十回も食べてきたのに、一度も気にしたことがない場所。
「まさか……」
友達は私からピックを受け取ると、その部分にスッと乗せた。
すると――
ピックがちょうどいい具合に収まった。
先端がテーブルに触れない。
箱の外にも落ちない。
しかも次に食べる時、そのまま簡単に取れる。
「ちょっと待って。今まで私、毎回どこに置こうか悩んでたんだけど!」
思わず声が大きくなった。
友達は笑いながら、
「私も人に教えてもらうまで知らなかったよ」
と言う。
私は気になって、わざと箱を少し動かしてみた。
それでもピックは簡単には転がらない。
「何これ、めっちゃ便利じゃん……」
ただの凹凸だと思っていた場所が、急に意味のある形に見えてきた。
「こういうの考える人ってすごいね」
私が感心している横で、夫は冷静だった。
「本当に公式の“ピック置き場”なの?」
……確かに。
そこで調べてみると、ピノのトレーにはさまざまな凹凸があるものの、その細かな形状すべてについてメーカーが用途を公表しているわけではないらしい。
つまり、「この部分は絶対にピック置き場です」とまでは言い切れない。
それでも実際に試してみると、これが妙に使いやすい。
私はその日から、ピノを食べるたびにそこへピックを置くようになった。
そして数日後。
何も知らない妹がピノを食べながら言った。
「このピック、途中でどこに置けばいいんだろ?」
私は少し得意げに箱を指さした。
「そこ、試してみて」
妹がピックを置いた瞬間、
「えっ!?」
私とまったく同じ顔をした。
こういう小さな発見って、知ってしまうと誰かに言いたくなる。
今までピノを何箱食べてきたんだろう。
もっと早く知りたかった。
ちなみに、メーカー公認の用途かどうかは別として――
我が家では今日から正式に「ピック置き場」と呼ぶことに決定しました。