「しまった……現金がない」
駐車場の精算機の前で、私は一瞬固まりました。
その日は何気ない外出でした。
買い物を済ませ、車に戻り、いつものように駐車場を出ようとした時。
料金表示を見ると、
「600円」
と表示されていました。
私は財布を開きました。
クレジットカード。
ありました。
スマホ決済。
使えました。
でも、その駐車場の精算機には対応していませんでした。
「現金のみ」
小さな表示を見た瞬間、嫌な予感がしました。
財布の中を確認すると、
大きなお札しかありません。
しかも、機械は1万円札に対応していませんでした。
後ろには出庫を待つ車。
焦る気持ち。
「どうしよう……」
そんな時、ふと思い出しました。
ダッシュボードの中に入れていた小さな封筒。
私は急いで助手席側を開けました。
そこに入っていたのは、
3000円。
普段なら忘れてしまうような小さなお金でした。
でも、その瞬間、その3000円が本当にありがたい存在になりました。
無事に料金を支払い、何事もなかったように駐車場を出ることができました。
実はこの3000円。
私が以前の失敗から入れておいた「セルフ埋蔵金」でした。
昔、同じように現金しか使えない場所で困った経験がありました。
コンビニでも、
駐車場でも、
急な集金でも。
今の時代、カードやスマホがあれば大丈夫。
そう思っていました。
でも、意外な場所で現金が必要になることがあります。
自動販売機。
小さなコインパーキング。
現金のみの施設。
そんな時、たった数千円が大きな安心になります。
もちろん大金を入れておく必要はありません。
私の場合は、
1000円札を数枚。
緊急用として車内に置いているだけです。
普段は存在すら忘れています。
でも、必要な瞬間にだけ助けてくれる。
まさに自分専用の小さな貯金箱です。
家に帰ってから、私はその3000円を補充しました。
そして改めて思いました。
便利な時代だからこそ、
「もしもの時の小さな備え」
は大切なのだと。
災害用の備蓄もそうですが、日常の小さなトラブルも突然やってきます。
スマホの充電が切れる。
カードが使えない。
機械が対応していない。
そんな時、最後に頼れるのは意外と昔ながらの現金だったりします。
ダッシュボードに入れた3000円。
金額だけ見れば大したことはありません。
でも、あの日の私にとっては、
「焦りを安心に変えてくれた3000円」
でした。
それ以来、私は車に乗るたびにその封筒を確認します。
誰かに見せるものでもない。
自慢するものでもない。
ただ、自分と家族を少し安心させるための小さな習慣。
皆さんの車にも、
そんな「セルフ埋蔵金」はありますか?