最初にその車を見つけた時、私は思わず足を止めた。
松山市内の道路沿い。
決して広い道ではない。
近くを車が何台も通り、時間帯によっては歩行者も多い場所だった。
そこに、一台の車が長時間停まっていた。
ハザードはついていない。
運転手もいない。
故障した様子もない。
ただ、当然のように道路脇を占領していた。
最初は、すぐ戻ってくるのだと思った。
荷物を降ろしているだけかもしれない。
近くの店へ短時間立ち寄っただけかもしれない。
そう考えて、少し様子を見た。
でも、車は動かなかった。
十分。
二十分。
それ以上たっても、持ち主は戻らない。
通行する車は、そのたびに少し膨らんで避けていく。
後ろから来た自転車も、車道側へ出なければ通れない。
見ているこちらが怖くなるような状態だった。
「これ、危ないだろ……」
私はそうつぶやいた。
しばらくして、駐車監視員らしき人が現れた。
車の状態を確認し、時間を記録し、写真を撮っていた。
やがてフロントガラスに、黄色い紙が貼られた。
駐車違反の確認標章だった。
これで少なくとも、記録には残った。
私はそう思い、その場を離れた。
しかし、数時間後。
同じ道を通った時、私はもう一度その車を見かけた。
まだ停まっていた。
そして、フロントガラスには新しいものが増えていた。
白い封筒。
その上に置かれた一枚の紙。
何が書いてあるのか気になり、少し近づいて見た。
そこには、こう書かれていた。
「大変申し訳ない事をしました」
「ご迷惑おかけして、ごめんなさい」
「こちらに少ないですが包んでいます」
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