俺、岡沢慎一、32歳。結婚して二年、妻・エリカとは交際時こそ穏やかで気配り上手に見えたが、結婚すると徐々に本性を現し始めた。特に義両親への執着は凄まじく、月に一度どころか二週に一度は実家に行きたいと言い出す。もちろん俺も同行する羽目になる。庭の草むしりや買い物まで、まるで奉仕のように付き合わされる日々だった。
そんなある金曜日、父から電話が入った。
「母さん、胃がんが見つかった」――言葉を聞いた瞬間、血の気が引き手が震えた。母はこれまで大きな病気とは無縁だった。俺は即座に妻に相談するため帰宅したが、返ってきたのは予想外の反応だった。
「明日はウチの実家でしょう?あなたが手伝ってよ」
「母親の病気なんだ!」
「黙って私の言うこと聞いて!じゃなきゃ離婚!」
激昂した妻は、怒りのまま離婚届を投げつけてきた。床に落ちた紙を拾うと、すでに彼女の署名と印鑑が押されている。手に取った瞬間、腹の底から冷静な怒りが湧き上がった。思考は一瞬で決まった――「書き込んで、提出する」。
翌朝、必要最小限の荷物をまとめ、静かに家を出た。役所に回り、離婚届を提出する。数分後、手続きは完了した。胸には静かな達成感と、一抹の虚しさが残った。
その足で実家へ向かい、病院で母の容態を確認。幸い手術可能で、十日ほどで退院できるとのことだった。父と共に母の病室へ向かうと、母は安堵の笑顔を見せた。「もう心配しないで、親孝行をしてくれてありがとう」と言われ、胸が熱くなる。
元妻からは数日後、電話や着信が山のように届いたが無視。義両親への挨拶も済ませ、責任は持つと告げた。元妻は実家から追い出され、新たな依存先は会社の後輩男性だったらしい。やがてセクハラ問題で左遷され、再就職もままならなかったという。
母の手術は無事成功。家族を守り、正しい親孝行を尽くす――それこそが大事なことだと改めて思った。
誰かを傷つけず、心から望まれる生き方をする――そう決意して、俺は新たな日々を歩み始めたのだった。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=3RF3iUeW8xc,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]