「……絶縁する」
その一言は、刃物のように胸を貫いた。
令和六年三月十五日、金曜日の午後。私はその日を生涯忘れないだろう。
玄関に立っていた息子夫婦は、いつになく改まった表情をしていた。
息子の真司が、会議の議題を読み上げるような口調で切り出した。
「母さん、大事な話がある」
私は山田千代子、七十三歳。
五年前に夫を亡くし、四十九年前に建てたこの実家で一人暮らしを続けている。
夫と二人、地元の工務店勤めとパートを掛け持ちし、必死に建てた家だった。
「僕たちは、母さんと今後一切関わらないことに決めた」
言葉の意味がすぐには理解できなかった。
横で嫁の香織が、事務的に補足する。
「この家も援助もいりません。相続も放棄します」
理由を尋ねる私に、香織は冷たく言った。
「築五十年ですよ。正直、負の遺産です。固定資産税も高いし、解体費もかかるし」
真司も続けた。
「僕たちも生活で精一杯なんだ」
孫の学費を援助したことも、何も頼らず暮らしてきた年月も、すべて切り捨てられた瞬間だった。
さらに彼らは言った。
「美咲にも会わないでください。悪影響ですから」
玄関を出ていく二人の背中を見送った直後、外から聞こえてきた会話で、すべてを悟った。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=q3EJP8gfG3Y,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]