「これ、会計お願いしますね」
PTAの集まりが終わった直後、同じクラスの母親である佐伯さんが、妙に明るい声で封筒を差し出してきた。
中には領収書が数枚入っていた。
内容は、学年行事で使う飾り、文房具、景品代など。
金額は合計で三万八千円ほどだった。
私はその場で受け取ったが、会計担当ではなかったため、隣にいた義姉の真理子さんへ渡した。
真理子さんは今年、PTA役員の会計補佐をしている。
数字に細かく、普段は穏やかだが、不自然な点にはすぐ気づく人だった。
領収書を一枚ずつ確認していた真理子さんの指が、ある一枚の上で止まった。
「あれ……この領収書、おかしい」
私は何気なく覗き込んだ。
そこには、町内の文具店名と住所が印字されていた。
しかし、真理子さんは眉をひそめたまま、小さく言った。
「この地区、四丁目までしかないのに、五丁目って書いてある」
その瞬間、胸の奥がざわついた。
佐伯さんは、いつも人当たりがよく、学校行事にも積極的に顔を出す母親だった。
だが、以前から少し気になるところはあった。
余った景品を「これ、うちで保管しておきますね」と言って持ち帰ったり、集金袋を回収する係でもないのに、子どもたちから預かろうとしたりしていた。
その時は、親切心だと思っていた。
けれど、真理子さんの表情を見る限り、ただの記載ミスでは済まない空気だった。
「念のため、先生に確認しましょう」
翌日、私たちは担当の高橋先生に相談した。
先生は最初、困惑した様子だった。
「佐伯さんは、去年からよく手伝ってくださっている方ですから……」
そう言いながらも、領収書を見た途端、顔つきが変わった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=KIX7YsSvXMU,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]