仕事から帰って玄関を開けた瞬間、俺は違和感を覚えた。
いつもなら作業部屋の隙間から、PCのファンがかすかに回る音が聞こえる。
しかしその日は、家の中が妙に静かだった。
嫌な予感がして部屋へ向かうと、机の上が空になっていた。
自作PC本体、モニター二台、配信用マイク、オーディオインターフェース、外付けSSD、カメラ機材。
数年かけて少しずつ買い集めた仕事道具が、きれいに消えていた。
最初は空き巣だと思った。
けれど窓も玄関も壊されていない。
鍵も閉まっていた。
思い当たったのは、数日前に隣人奥の美奈子さんが家に来た時のことだった。
町内会の資料を届けに来た彼女は、作業部屋を覗き込み、妙に目を輝かせていた。
「すごい機械ね。うちの子もゲーム実況したがってるのよ」
その時はただの世間話だと思っていた。
だが今思えば、あの視線は明らかに値踏みする目だった。
俺はすぐ警察へ相談し、盗まれた機材の購入履歴とシリアル番号を整理した。
そのうえで、念のため隣の家を訪ねた。
玄関に出てきた美奈子さんは、俺の顔を見るなり不自然に目を逸らした。
「すみません。うちのPCや機材がなくなったんですが、何か知りませんか?」
できるだけ冷静に聞いた。
すると彼女は、あからさまに鼻で笑った。
「は? 知らないわよ。PCくらいで頭おかしいんじゃない?」
俺は言葉を飲み込んだ。
「PCくらい、ではないです。仕事で使う大事な機材です」
「しつこいと警察呼ぶから!」
その言葉を聞いて、俺は逆に確信した。
普通、何も知らない人間なら、そこまで過剰に怒らない。
しかも玄関の奥から、聞き覚えのある起動音がした。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=6aqV6YwHtSU,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]