寿退社することになったのは、同じ部署の先輩、彩香さんだった。
仕事は丁寧で、後輩の面倒見もよく、私も何度も助けられてきた。
退職日が近づいたある日、部署のみんなでお祝いを贈ろうという話になった。
幹事は私が引き受けた。
「一人五千円くらいで、花束と少し良い食器でも贈ろうか」
そう提案すると、ほとんどの人が快く賛成してくれた。
その時、普段は彩香さんとあまり関わりのないB子が近づいてきた。
「私も混ぜて」
私は少し意外に思いながらも、断る理由はなかった。
「もちろん。一人五千円ね」
B子は笑顔で頷いた。
「分かった。あとで渡すね」
けれど、その日からB子は何かと理由をつけてお金を持ってこなかった。
「財布忘れた」
「細かいのがない」
「給料日まで待って」
不自然だとは思ったが、送別会までには払うと言うので、私は深く追及しなかった。
そして送別会当日。
彩香さんには花束とプレゼントを渡し、みんなで写真を撮った。
彩香さんは涙ぐみながら「本当にありがとう」と言ってくれた。
その場は温かい空気で終わったはずだった。
ところが翌日の夜、知らない番号から電話がかかってきた。
出ると、低い男性の声が聞こえた。
「あなたが幹事の方ですか」
「はい、そうですが」
男性は怒りを抑えたような声で続けた。
「慰謝料五千万を払ってください」
私は一瞬、意味が分からなかった。
「……何の話ですか?」
相手は彩香さんの婚約者だった。
彼の話によると、送別会の後、B子が彼に連絡を取り、こう言ったらしい。
「彩香さんは会社で複数の男性に言い寄っていた。お祝い金の五千円は、実は口止め料の一部。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=tGf0KN1InB8,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]