入社4年目、資格手当付きの契約に切り替わってから、月々の給与明細を細かく確認する習慣はなかった。総支給額がだいたい同じ範囲に収まっていたこともあり、内訳まで気にしたことはなかった。銀行口座の残高だけを見て、いつも通りだと安心してしまっていたのだと、あとになって気づいた。
きっかけは、同期との何気ない雑談だった。「うちの資格手当、8,000円だよね」と言われ、自分の契約書を見返してみると、確かに同じ金額が書かれていた。
ところが手元の給与明細アプリを開いてみると、資格手当の欄には「5,200円」としか記載されていなかった。最初は打ち間違いか何かだろうと軽く考えていたが、念のため確認しておこうと思い直した。
念のため過去の明細を遡って確認すると、契約が切り替わった月からずっと、5,200円のまま変わっていなかった。差額は月2,800円。3年間、まったく気づかずに過ごしていた計算になる。合計すると、100,800円という金額になった。給料日のたびに何気なく確認していたはずの明細が、実はずっとこの誤りを見逃していたのだと思うと、自分の不注意さにも複雑な気持ちになった。
経理の窓口に相談に行くと、担当者は「規定通りに支給しています」の一点張りだった。
契約書のコピーを見せても、「システム上の登録額がそうなっているので」としか説明してもらえなかった。何度も食い下がったが、担当者の表情は次第にこわばっていくばかりで、これ以上は埒が明かないと感じた。「では、この契約書自体が間違っているということですか」と尋ねると、担当者は言葉に詰まり、それ以上は何も答えなかった。せめて過去の資料を確認してもらえないかと頼んだが、「担当が変わっているので、すぐには分かりかねます」とだけ返された。
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