僕はそのまま両脇を押さえ、彼女からさらに距離を取った。
「どうして僕の肋骨を折りたいの?」
彼女は悪びれる様子もなく、テーブルに置いてあったスマホを手に取った。
画面には、筋力の強い人物が相手を抱き締め、骨が鳴るような音を出す短い動画が表示されていた。
どうやら彼女はそれを見て、自分にもできるのか試したくなったらしい。
「動画では簡単そうだったんだよ」
「だからって、実験台を僕にする?」
「だって一番頼みやすいし」
「頼まれたのはハグだけだよ。骨を折る許可は出してない」
僕がそう言うと、彼女はようやく自分の言葉のおかしさに気づいたらしく、口元を押さえた。
「確かに、目的を先に言ったら絶対に断られると思って」
「先に言えない時点で、やっちゃダメなことなんだよ」
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