「水道代、1万8261円!?」
2か月分の請求書を見た瞬間、思わず声が出た。
わが家は夫婦と子ども2人の4人家族。今回の使用水量は55立方メートルだった。
上水道9567円、下水道7361円、温泉汚水1333円。合計すると、確かに1万8261円になる。
前回より明らかに高い。
請求書を食卓に置くと、夫は開口一番こう言った。
「子どもたちがシャワーを出しっぱなしにしたんじゃないか?」
すると高校生の娘は反論した。
「お父さんこそ、毎朝ずっとシャワーを浴びてるでしょ」
息子まで「お母さんが洗濯をしすぎなんじゃない?」と言い出し、食卓は一気に犯人捜しの場になった。
私は誰かを責める前に、本当に使いすぎなのか確かめることにした。
その夜、家中の蛇口を閉め、洗濯機も食洗機も止めた。
そして外にある水道メーターを確認した。
ところが、誰も水を使っていないのに、メーター内の小さな印がゆっくり回っていた。
「これ、どこかで漏れてない?」
家族全員で台所、洗面所、浴室を調べたが、床が濡れている場所はない。蛇口から水が垂れている様子もなかった。
最後にトイレのふたを開けると、便器の中へ細い水の筋が流れ続けていることに気づいた。
音はほとんど聞こえない。
けれどタンク内の部品が劣化し、水が24時間少しずつ流れていたのだ。
翌朝、水道局へ連絡した。
担当者に使用水量とメーターの動きを伝えると、「漏水の可能性があるため、指定の修理業者に確認してもらってください」と案内された。
その日の午後、業者が点検に来た。
原因はやはり、トイレタンク内部のゴム製部品だった。
部品は長年の使用で変形し、完全に水を止められなくなっていた。
修理代は約9000円。
決して安くはなかったが、放置すれば毎回高い水道代を払い続けることになる。
交換後、もう一度すべての蛇口を閉めてメーターを見ると、今度はぴたりと止まった。
誰の長風呂でも、洗濯の回数でもなかった。
犯人は、家族の誰にも気づかれないまま流れ続けていたトイレの水だった。
それから2か月後、届いた請求額は約1万1000円。使用水量も大きく減っていた。
請求書を見た夫は、子どもたちに頭を下げた。
「疑って悪かった」
娘は笑って答えた。
「これからは犯人捜しの前に、メーターを見ようね」
水道代が急に高くなったら、まず家中の水を止めてメーターを確認する。
たった数分の確認で、見えない漏水に気づけることがある。
1万8261円の請求書は痛かった。
でも、家族で責任を押し付け合うより、数字と現物を確かめることの大切さを教えてくれた。