「ここは一階住人が使用する通路です。直ちに移動してください。邪魔です!!」
朝、仕事へ出ようとした私の自転車に、また一枚の紙が貼られていた。
これで4回目だった。
最初に見つけた時は、誰かの勘違いだと思った。
確かに、自転車を置いているのはアパートの共用部分だ。
しかし、入居時に管理会社へ確認し、正式に許可を得た場所だった。
消防設備を塞いでいるわけでもない。
玄関や階段への通行を妨げてもいない。
それなのに、次の日も紙が貼られた。
さらにその翌日も。
書かれている内容は、少しずつ強くなっていった。
「一階住人の迷惑です」
「常識を考えてください」
「次は管理会社へ通報します」
私は思わず苦笑した。
管理会社から許可を得ているのは、こちらのほうだ。
そこで私は管理会社へ電話をかけた。
「自転車を置いている場所について、改めて確認したいのですが」
担当者は契約時の記録を調べ、はっきり答えた。
「その場所で問題ありません」
「通行にも支障がないため、使用を許可しています」
私は念のため、その回答をメールでも送ってもらった。
翌朝、管理会社の許可があることを簡潔に書き、自転車へ貼っておいた。
これで終わると思った。
だが、相手は止まらなかった。
仕事から帰ると、私の説明文は破られていた。
自転車は元の場所から数メートル離れた、屋根のない場所へ移動されていた。
雨が降っていた。
サドルも荷物入れも、びしょ濡れだった。
さらに、ハンドルには昨日までなかった細い傷がついていた。
その瞬間、私の中で何かが切り替わった。
もう、単なる勘違いではない。
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