「一人でそんなに場所を取って、
公徳心がないんですか?」
電車に乗った直後、
目の前の男性が私をにらんだ。
私は抱っこひもで眠る赤ちゃんを抱え、
左手で上の子の手を握っていた。
右手にはベビーカー。
中にはおむつや着替え、
ミルクなど、子ども二人分の荷物が入っていた。
車内は混雑していたが、
今さら降りることもできない。
予約の時間が迫っていたからだ。
「すみません。
今は手がふさがっていて、畳めないんです」
私がそう説明すると、
男性は鼻で笑った。
「子どもを言い訳にしないでください」
「ほかのお母さんは、
ちゃんと畳んでいますよ」
周囲からも、
「確かに邪魔だよね」
「混んでいる時間に乗るほうが悪い」
という声が聞こえた。
さらに一人の乗客が、
私にスマホを向け始めた。
まるで私が非常識な母親である証拠を、
ネットに投稿しようとしているようだった。
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