乾燥機の中から、見覚えのないタオルが1枚出てきた。裏には知らない名前。うちの靴下は2足足りない。店員が会員のタイムスタンプを調べると、同じ時間に別の利用者がいたことが分かった。その人に連絡がついたのは翌日の夕方だった。
【本文】
週末、いつものコインランドリーで洗濯物を回した。
乾燥が終わり、いつものように取り出していると、見たことのないタオルが1枚混ざっていることに気づいた。
裏側に、油性ペンで小さく名前が書かれている。うちのものではなかった。
慌てて袋の中身を数え直すと、靴下が2足足りなかった。
店員に事情を話すと、少し困った顔をしてから、防犯カメラではなく会員登録のシステムを確認してくれた。
「同じ時間帯に、別のお客様も同じ機種をご利用になっていたようです」
利用時間が数分だけ重なる、もう一人の利用者がいた。店員がその人に連絡を取ってくれた。
翌日の夕方、電話がかかってきた。
「すみません、乾いた洗濯物、慌てて取り違えたみたいで……」
相手も、同じように靴下が足りないと感じていたらしい。
その週末、店の前で待ち合わせて、荷物を交換した。
「すみません、本当に」
相手は何度も頭を下げた。私も、最初から怒っていたわけではなかった。
それ以来、店で会うと、軽く会釈する関係になっている。