俺は小さな工場で働き始めてから、もう十年以上が経っていた。
会社の名前は、地方にある中堅メーカー。決して大企業ではなかったが、社員同士の距離が近く、努力する人間を正当に評価してくれる温かい会社だった。
俺は高校へ進学せず、中学卒業後すぐに働き始めた。
理由はいくつかあった。家庭の事情もあったし、何より「学校で学ぶより、現場で技術を身につけたい」という気持ちが強かった。
もちろん、世の中には学歴で人を判断する人もいる。
「中卒じゃ将来はない」
「いい会社には入れない」
「大した仕事は任されない」
そんな言葉を何度も聞いてきた。
それでも俺は、自分にできることを一つずつ積み重ねるしかないと思っていた。
入社した当初は、誰よりも早く出社し、誰よりも遅くまで作業を覚えた。
機械の音の違いで異常を判断できるようになるまで何年もかかった。
新人が困っていれば自分の仕事を止めて教えた。
失敗した時は人のせいにせず、必ず原因を探して改善した。
そんな日々を続けているうちに、気づけば俺は現場の中心的な存在になっていた。
後輩からは相談を受け、上司からは難しい仕事を任されるようになった。
学歴はなかった。
だが、経験だけは誰にも負けない自信があった。
そんなある日、会社に大きな変化が訪れた。
俺たちの会社が、ついに上場することになったのだ。
社員全員が喜んだ。
長年頑張ってきた会社が、世間から認められる瞬間だった。
社内はお祝いムードに包まれ、これからさらに成長していこうという空気が流れていた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=fqq-0S2YEAg,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]