「返却予定時刻を過ぎていますが、今どちらにいらっしゃいますか?」
私が最初に電話した時、契約者の女性は落ち着いた声で答えた。
「少し遅れています。明日には返します」
貸し出したのは、当店で管理している国産ミニバンだった。
利用期間は2日間。
返却予定は日曜日の午後6時。
契約者は30代の日本人女性で、本人名義の運転免許証とクレジットカードを提示していた。
受付時の受け答えにも、不自然なところはなかった。
「家族で出かけるので借りたい」
女性はそう説明していた。
車を渡す前には、返却時刻、延長料金、事故時の連絡方法についても確認した。
署名も残っている。
だから、最初は単なる遅延だと思った。
翌朝。
車は戻ってこなかった。
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