藤川あかね、二十七歳。
私はアパレルメーカーで働く、ごく普通の会社員だ。
大学卒業後、安定を求めて入社した会社では、それなりに真面目に働いていた。しかし、心の奥にはずっと消えない思いがあった。
「本当は、服に関わる仕事がしたい」
その気持ちを押し殺しながら毎日を過ごしていた私に、背中を押してくれたのは父だった。
「仕事なんて世の中にいくらでもあるんだぞ。
それなのに、やりたくもないことを続けてどうするんだ?」
「簡単に言わないでよ。お父さんの時代とは違うんだから」
当時の私は不安でいっぱいだった。
せっかく入った会社を辞めること。
新しい環境へ飛び込むこと。
失敗したらどうするのか。
そんな私に父は笑って言った。
「昔は今ほど仕事を選べなかった。でも今は違う。やりたいことが分かっているなら、それを諦める理由なんてないだろう」
その言葉に、私は救われた。
父のおかげで私は転職を決意し、今では大好きな洋服に関わる仕事をしている。
忙しい毎日ではあるが、以前よりずっと充実していた。
そんな生活を送っていたある日、母から突然電話がかかってきた。
「あかね……お父さんのことなんだけど」
「どうしたの?」
「最近、物忘れが増えてね……もしかしたら認知症かもしれない」
その瞬間、頭の中が真っ白になった。
「え……お父さんが?」
信じられなかった。
父はいつも頭の回転が速く、何でも冷静に判断する人だった。
私が落ち込んだ時も、迷った時も、いつも正しい方向へ導いてくれた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=FN7_Dg2Khfo&t=3s,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]