「美咲って、本当に天然だよな」
俺は昔から何度もそう思ってきた。
今でこそ「天然ボケ」という言葉はよく聞くが、俺が美咲と出会った頃には、そんな表現はまだ一般的ではなかった。けれど、今振り返れば、美咲は最初からずっと変わらない天然だった。
俺が美咲と出会ったのは、家の近所にある小さな定食屋だった。
そこにはよく昼飯を食べに通っていて、美咲はそこでアルバイトをしていた。
正直に言うと、最初の印象は「大丈夫か、この子?」だった。
仕事は決して器用ではない。注文を間違えることも多く、店長から注意されている姿を何度も見かけた。
でも、不思議と嫌な感じがしなかった。
いつ怒られても、美咲は申し訳なさそうに頭を下げながら、最後には必ず笑っていた。
ある日のことだった。
美咲が俺の席にお茶を運んできた時、手を滑らせてしまった。
熱いお茶が俺のズボンにこぼれた。
「す、すみません!」
美咲は顔を真っ青にして、慌てて店の奥へ走っていった。
しばらくして戻ってきた彼女の手には、大量の新聞紙が抱えられていた。
「お前、何してるんだ?」
店長が驚いた声を上げる。
すると美咲は真顔で答えた。
「あ、この方が水を吸うと思ったので……」
その瞬間、俺は思わず吹き出した。
普通ならタオルを持ってくるところだろう。
でも美咲は、本気で新聞紙が一番効率的だと思っていたのだ。
しかも俺や店長に何度も頭を下げながら、
「でも、こっちの方が絶対いっぱい吸うのになぁ……」
と小さく呟いている。
その姿を見て、俺はまた笑ってしまった。
その時だった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=mNOIT3QH11I,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]