「お兄ちゃん……私、本当は全部知ってたの」
結婚披露宴の会場に、花嫁の震える声が響き渡った。
純白のウェディングドレスに身を包んだ24歳の女性――佐藤みおは、手にした手紙を握りしめながら、たった一人の家族へ向かって言葉を紡いでいた。
「神父様から、お兄様への手紙を読ませていただきます」
司会者の言葉の直後だった。
親族席に一人だけ座る男性、佐藤弘人の表情が凍りついた。
「お兄ちゃんが……お父さんとお母さんは遠くで大切な仕事をしているって嘘をついて、私を守ろうとしてくれたことも……」
会場にいた100人以上の招待客が息を飲む。
幸せに満ちたはずの結婚式で、なぜこんな重い告白が始まったのか。
新郎側の親族たちも、戸惑った表情で顔を見合わせていた。
しかし、みおの瞳から流れる涙は悲しみだけではなかった。
14年間、胸の奥にしまい続けた感謝と、兄への深い愛情が込められていた。
「ずっと知らないふりをしてきた。でも……今日だけは、本当のことを言わせて」
弘人は何も言えなかった。
まさか。
14年間、必死に隠し続けたあの事実を、妹が知っていたなんて。
彼の頭の中に、14年前の出来事が鮮明によみがえっていた。
――2011年、初夏。
当時21歳だった弘人は、都内の有名私立大学の建築学科に通う大学3年生だった。
成績は優秀で、奨学金を受けながら学び、教授からも将来を期待されていた。
設計コンペでは何度も入賞し、周囲からは「建築の才能がある」と認められていた。
将来は一流の建築家になる。
それが弘人の夢だった。
しかし、その未来は突然崩れ去った。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=ETDdjLU3t70,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]