7月23日、マンションのエレベーターを待っていると、壁に1枚の紙が貼られていることに気づいた。
上部をクリップで留めた、手書きの貼り紙だった。
「7月22日頃、エレベーター付近で1粒パールのネックレスを紛失しました」
「大切な想いの品です」
「お心当たりのある方は、管理室へお届けいただけると大変助かります」
丁寧な文字から、持ち主が必死に探していることが伝わってきた。
高価だからというより、誰かから贈られたものなのかもしれない。
記念日に受け取ったものか、家族の形見なのか。
「大切な想いの品」という短い言葉が、妙に心に残った。
ただ、私は正直、見つかる可能性は低いと思っていた。
ネックレスは細くて小さい。
エレベーター付近で落としたと思っていても、実際には外出先で紛失した可能性もある。
共用廊下で落としたのなら、誰かが気づかず踏んでしまったかもしれない。
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