盗まれた自転車が見つかったと警察から電話が来たのは、今朝のことだった。
スマホの画面に知らない番号が出た瞬間、私は少しだけ身構えた。普段なら出るか迷うところだけれど、なぜかその時だけは胸がざわついて、すぐに通話ボタンを押した。
「警察です。盗難届を出されていた自転車の件でご連絡しました」
その一言を聞いた瞬間、手に力が入らなくなった。
約1ヶ月半前、いつもの場所に置いていた自転車が忽然と消えた。黒い車体で、前かごが大きく、毎日の通学や買い物に使っていた大事な自転車だった。
最初は、どこかに移動されたのかと思った。
周辺を何度も探した。駐輪場の端、建物の裏、近くの道、店の前。まさかと思う場所まで見て回った。
でも、どこにもなかった。
その時に感じた悔しさは、今でもはっきり覚えている。
高価なものだからというだけではない。毎日使っていたものを、知らない誰かに勝手に持っていかれた。その事実が、どうしても許せなかった。
私はすぐに警察へ届け出た。
防犯登録の控えを探し、購入時の情報を確認し、写真も見せた。警察の方は丁寧に話を聞いてくれたけれど、正直、その場では「戻ってくる可能性は低いのかもしれない」と思っていた。
それでも諦めきれなかった。
私は自転車の写真を投稿した。
「もし見かけた方がいたら教えてください」
そう書いて、特徴もできるだけ詳しく載せた。黒い車体。前かご。ハンドル周り。防犯登録。些細な情報でもいいから、誰かの目に留まってほしかった。
投稿すると、思っていた以上にたくさんの人が反応してくれた。
「見かけたら連絡します」
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