夜のミスドで見た現実
閉店間際のミスドに入った瞬間、私は思わず足を止めた。
ショーケースの横、注文列の案内板のすぐ下に、大きな透明の袋が置かれていた。
中には、まだ形のきれいなドーナツがぎっしり詰まっていた。
ポン・デ・リング、チョコのかかったもの、ピンク色のドーナツ。
昼間なら子どもたちが目を輝かせて選ぶような商品ばかりだった。
けれどそれは、もう誰かの口に入るものではなかった。
閉店後に廃棄されるため、ひとまとめにされたドーナツだった。
私はその袋を見ながら、なんとも言えない気持ちになった。
数時間前までは「どれにしよう」と迷われていたはずのものが、夜になると一瞬で“売れ残り”になる。
きれいに並べられていた商品が、最後は床の上の袋に入れられている。
その現実が、思ったより胸に刺さった。
その時、私の後ろにいた親子も同じ袋に気づいた。
小さな男の子が母親の袖を引っ張りながら言った。
「ママ、あれ捨てちゃうの?まだ食べられそうなのに」
母親は少し困った顔をして、静かに答えた。
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