夜、マンションの共用通路を通った瞬間、足が止まった。
廊下の真ん中に、靴が何足も散らばっていた。
奥にはベビーカーが置かれ、通路の幅はかなり狭くなっている。
非常時に人が通る場所なのに、まるで玄関の延長のように使われていた。
最初は、たまたまかと思った。
引っ越し直後かもしれない。
子どもが小さくて、一時的に置いているだけかもしれない。
そう思って、何も言わずに通り過ぎた。
けれど翌日も同じだった。
その次の日も、靴は散らばったまま。
ベビーカーも動かされていない。
雨の日には、濡れた傘や袋まで置かれるようになった。
共用通路は、個人の収納場所ではない。
火事や地震が起きた時、避難経路になる場所だ。
それなのに、誰かが毎日そこをふさいでいる。
私はだんだん不安になった。
もし夜中に火災報知器が鳴ったら。
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