高校生くらいまで、私は本気で「お米の冷蔵庫」は一軒家ならどこの家庭にもあるものだと思っていました。
実家の物置には、背の高い白い米専用の冷蔵庫がありました。中には30キロの米袋がいくつも入っていて、祖母はいつも「お米は温度と湿気が大事だからね」と言いながら扉を開け閉めしていました。
私にとってそれは、洗濯機や冷蔵庫と同じくらい普通の家電でした。
台所には食材用の冷蔵庫、物置にはお米用の冷蔵庫。何の疑問もありませんでした。
ところが高校生の時、友達との何気ない会話で、私は初めて自分の常識が少し違っていたことに気づきました。
昼休み、弁当を食べながら、米の保存の話になりました。誰かが「夏って米に虫わかない?」と言ったので、私は何気なく答えました。
「うちは米の冷蔵庫に入れてるから、あんまり気にしたことないかも」
その瞬間、友達の箸が止まりました。
「え、米の冷蔵庫って何?」
私は逆に驚きました。
「え?お米入れる冷蔵庫。家にないの?」
その一言で、周りの友達が一斉に笑い出しました。馬鹿にする笑いではなく、本当に珍しいものを聞いたような反応でした。
「ないない」
「普通の冷蔵庫に少し入れるくらいじゃない?」
「米だけの冷蔵庫って初めて聞いた」
私は顔が熱くなりました。
自分の家では当たり前だったものが、みんなにとっては全然当たり前じゃなかった。しかも私はそれを、「一軒家なら普通にあるでしょ」という顔で話してしまったのです。
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