【不足していたのは33円ではなかった。泣きながらトイレを掃除した私が、父親へ突きつけたもの】
昼の混雑が始まる直前、1人の男性が来店した。
ヘルプマークを身につけており、後に父親から知的障害があると聞いた。
男性は持参したご飯とお茶を広げ、大声を出したり、長時間トイレに入ったりした。それでも私は、ほかのお客様に危険がない限り、できるだけ落ち着いて過ごしてもらおうと考えた。
食事を終えた後も、男性は約1時間スマホを見続けた。
店内が満席になり始めたため、私は静かに声をかけた。
「お待ちのお客様がいらっしゃるので、お会計をお願いします」
代金は600円。しかし、財布に入っていたのは567円だった。
33円なら諦めてもよかった。だが、お金の問題を曖昧にすることが配慮だとは思えず、名前と連絡先を確認し、後で持ってきてもらうよう伝えた。
男性が帰った直後、常連客が青ざめた顔で私を呼んだ。
「店長さん、トイレを確認したほうがいいです」
便器の後ろにあるタンクの上に、排泄物が残されていた。
私はお客様に謝罪し、店を一時閉めた。手袋を何枚も重ね、吐き気をこらえながら掃除した。
涙が止まらなかった。
夕方、男性は父親と戻ってきた。
父親は33円を支払い、頭を下げた。私がトイレの件を伝えると、男性は小さな声で「僕がやりました」と認めた。
次の瞬間、父親が息子の頬を殴った。床に倒れた息子を蹴ろうとしたため、私は間に入った。
「やめてください。殴って終わらせる問題ではありません」
父親は「迷惑をかけたんだから、仕方ないだろ!」と怒鳴った。
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