「え、何この紙……?」
雨の夜、交差点で信号待ちをしていた時だった。
突然、左側から1台の軽自動車がスッと前へ割り込んできた。
こちらがブレーキを踏まなければ危なかった距離。
思わず、
「ちょっと、危ないな……」
と声が出た。
その車は初心者マークをつけていた。
だから最初は、
「まだ運転に慣れてないのかな」
くらいに思った。
でも、赤信号で止まった瞬間。
私はその車のリアガラスに貼られた紙に気づいた。
雨で少しにじんでいたが、手書きの文字は読めた。
「無断駐車」
「非常に迷惑だ」
「この張り紙を見つけ次第、撤去を」
そんな内容だった。
しかも管理側らしき名前まで書かれている。
「……これ、駐車トラブルの警告?」
さっきの強引な割り込み。
そして後ろに貼られた無断駐車の注意書き。
偶然とは思いつつも、なんとも言えない違和感が残った。
もしかして、この張り紙に気づいていないのか。
それとも、貼られた場所から慌てて出てきたのか。
車は信号が青になると、また急ぐように走り出した。
私は距離を取って、そのまま後ろを走った。
しばらくすると、その車はコンビニの駐車場へ入った。
私も別の用事があり、少し離れた場所に停車。
すると運転手が降りてきた。
若い男性だった。
傘も差さず、後ろへ回る。
そして初めて紙に気づいたように立ち止まった。
数秒、固まる。
次の瞬間、周囲を何度も見回した。
紙を剥がそうとする。
でも雨でテープが張りつき、なかなか取れない。
私は車内から見ていた。
男性はようやく紙を剥がし、内容を読んだ。
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