「……また?」
駐車場に戻って車の後ろを見た瞬間、私はその場で固まった。
愛車のリアバンパーと、後ろの白い壁。
その隙間は、指がやっと入るかどうかという距離だった。
いや、よく見るとほとんど触れている。
「これ、当たってない?」
嫌な予感がして、車体を横からのぞき込む。
やっぱりギリギリ。
そして、バンパーの端には小さな擦れた跡まで見えた。
私はすぐ妻に聞いた。
「今日、車乗った?」
妻は悪びれる様子もなく、
「乗ったよ」
と答えた。
私は写真を見せた。
「これ、壁に当たってるよね?」
すると妻は少し首をかしげて、
「でも大丈夫じゃない?」
と一言。
「大丈夫って……」
今年に入って、これで4回目だった。
1回目はスーパーの駐車場。
2回目は自宅の柱。
3回目は縁石。
そのたびに、
「次は気をつける」
と言っていた。
私は怒鳴りたくなるのをこらえた。
車はただの道具と言えばそれまで。
でも、傷がつくたびに修理するのはお金がかかる。
何より、
「これくらいならセーフ」
という感覚が怖かった。
私はその場で写真を撮った。
バンパー。
壁との距離。
擦れた部分。
そして以前の傷の写真もスマホから探した。
4回分を並べると、さすがに笑えなかった。
夜、妻にもう一度話した。
「怒りたいわけじゃない」
「でも、4回目はさすがに“たまたま”じゃないよ」
妻は最初、
「そんな大げさな」
と笑っていた。
そこで私はスマホを見せた。
1回目。
2回目。
3回目。
そして今日。
並んだ4枚の写真。
妻の表情が少し変わった。
「……そんなにやってた?」
「やってた」
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