「死亡診断書(死体検案書)」
その文字を見た瞬間、私は書類から目を離せなくなった。
名前や生年月日、性別、死亡した年月日と時刻。
人の一生の終わりが、いくつもの小さな記入欄へ収められていた。
性別欄では「女」に丸が付けられている。
それだけなら、ほかの申請書にもある項目だ。
しかし死亡診断書の上に記された丸は、まったく違う重さを持っていた。
つい先日まで、その人には声があった。
表情があり、好きな物や苦手な物があり、積み重ねてきた時間があった。
私の中には、書類へ書き切れないほどの記憶が残っている。
それなのに、目の前の紙では、生年月日と性別と死亡日時によって1人の人生が整理されていた。
用紙には、この書類が我が国の死因統計を作成するための資料としても用いられることが記されている。
社会にとって、人の死を記録することは必要なのだろう。
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