休日の朝、私は掃除をしていた時に、棚の奥に置かれていた1冊のノートを見つけた。
夫が普段から仕事で使っているものだった。
最初は何気なく片付けようとしただけだった。
しかし、ページを開いた瞬間、私は手を止めた。
そこには、いつもの夫の几帳面な字ではなく、感情のまま書き殴ったような文字が並んでいた。
「おい、人事!!!」
「てめぇらが雇ったよぉ!!」
「新卒の女のよぉ!!」
私は思わず首をかしげた。
何のことなのだろう。
夫は普段、家では仕事の愚痴をあまり言わない。
嫌なことがあっても「まあ仕方ないよ」と流すタイプだった。
そんな夫が、ここまで感情をむき出しにしていることに驚いた。
さらに読み進めると、そこにはこう書かれていた。
「泣きながらのグチをよぉ!!!」
「85分聞いたんだぞ俺が」
「しかもよぉ!」
「土曜日に電話してきたぞ!!」
「休日なんだけど!!」
私は思わずため息をついた。
土曜日の休日。
夫は確かに長い時間、誰かと電話をしていた。
その時は仕事の連絡だと思っていた。
しかし相手は、新卒の女性社員だったらしい。
「どういうことなの……」
私はノートを閉じようとした。
でも、最後の部分が目に入った。
そこには、少し落ち着いた文字でこう続いていた。
「もっと言ってやるべき?」
「ライオンみてぇなゴリラみてぇなママみたいな奴」
意味がよく分からなかった。
ただ、夫が単純に楽しんで女性と話していたわけではないことだけは伝わってきた。
私は夫が帰宅するまで待つことにした。
夕方、玄関の鍵が開いた。
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