「何を被害者ぶってるんだ。迷惑してるのは俺の方だ」
夫は私の顔も見ずにそう言った。
私は63歳、結婚して37年になる。
体調の悪さを訴えても大げさだと笑われ、自分の意見を言えば「お前は何も分かっていない」と切り捨てられてきた。
定年後の夫は1日中家にいて、私が外出しようとすればどこへ何時に戻るのかと細かく問い詰めた。
それでも離婚後の暮らしを考え、私はずっと黙って耐えていた。
ある日、夫が私の仕事を「何の価値もないもの」と笑った瞬間、私の中で何かが静かに切れた。
週に3日だけ、近所の介護施設で補助スタッフとして働く時間が、私にとって唯一の居場所だった。
ある朝、仕事へ行く支度をしていると、夫が「今日は休め」と命じた。
「高が雑用だろう。お前1人いなくても誰も困らない」
その言葉に、胸の奥が冷たくなった。
結局その日は折れて、施設に体調が悪いと嘘の電話をかけてしまった。
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