仕事を終え、古びたアパートの階段を上る。
錆びた鉄の手すり。どこかの部屋から漏れるテレビの音。それだけが、この建物にまだ人が暮らしている証のようだった。
俺はいつものように鍵を差し込み、静かな部屋へ入る。
六畳一間の狭い部屋。古い本棚、使わなくなったゲーム機、小さなテーブル。そして、コンビニ弁当の空き容器。
電気をつける音や、上着を脱ぐ音さえ大きく感じるほど、部屋は静まり返っていた。
俺は55歳。独身。コンビニ店長。
人生の大半をレジの前で過ごしてきた。
若い頃は仕事が終わった後でもゲームを朝までやったり、友人と飲みに行ったり、それなりに楽しい時間もあった。
だが、いつの間にか連絡を取る相手も減り、休日はただ部屋で時間を潰すだけになった。
テレビをつけても落ち着かない。
ゲームを始めても一時間も続かない。
本を開いても数ページ読んだところで閉じてしまう。
「暇つぶしばかりの人生だな……」
そんなことを考える日が増えていた。
ある日の深夜勤務明け。
留学生スタッフが試験期間で大量に休みに入り、店のシフトが足りなくなった。
結局、店長である俺が夜勤に入ることになった。
昔なら何ともなかった。
だが、55歳の身体には夜勤は思った以上に堪える。
重い足を引きずりながらアパートへ戻ると、廊下に大量の段ボールが置かれていた。
「隣、引っ越しか……」
そこには一人の女性と、小さな男の子がいた。
女性は30代半ばくらい。
黒髪を後ろでまとめ、派手さのない服装。
でも、不思議と目を引く雰囲気があった。
男の子は母親の手を強く握りながら、こちらを見ていた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=xWIyzHWhxas,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]