「また自分の部屋で夕飯を食べるつもりなの?」
私がそう声をかけると、弟の斎藤はじめは面倒そうにこちらを睨みつけた。
「関係ねえだろ。姉ちゃんと一緒に飯なんて食いたくないんだよ」
その言葉を聞くたびに、胸の奥が痛んだ。
私は斎藤美里、29歳。独身。現在も父と弟の三人で暮らしている。
ただし、私の家庭環境は普通とは少し違っていた。
私の母は、私を産んですぐに病気で亡くなった。
その後、父は再婚し、はじめの母親となる女性と暮らし始めた。しかし、その女性ははじめを産んだ後、父と離婚して家を出ていった。
幼かったはじめは、その理由を「私のせい」だと思い込んでしまった。
「姉ちゃんがいたから母さんは出ていった」
物心ついた頃から、はじめは私にそういう態度を取っていた。
私は何度も説明した。
「あなたのお母さんが出ていったのは、私のせいじゃないよ。お父さんとお母さんの問題だったんだよ」
でも、はじめは聞く耳を持たなかった。
それでも私は、弟を家族だと思っていた。
だから家事もして、生活費も支えてきた。
父が仕事を失った後も、私は何も言わずに働き続けた。
私はフリーランスのシステムエンジニアだった。
在宅で仕事をしていたため、家にいる時間が長かった。
しかし、それが大きな誤解を生んだ。
「毎日家でゴロゴロして、恥ずかしくないのか?」
はじめは私を見るたびにそう言った。
「私は仕事してるって何度も言ってるでしょう?」
「嘘つくなよ。一日中パソコン触ってネット見てるだけじゃねえか」
どれだけ説明しても、彼の中では私は「働かない姉」のままだった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=RhBSYiKjCRA,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]