雨上がりの朝、駅前の駐車場を通りかかった時、私は思わず足を止めた。
「……え、どうやったらこうなるの?」
銀色のコンパクトカーが、駐車スペースから斜めにはみ出し、歩道との境にあるポールへ突っ込んでいた。
フロント部分は大きく外れ、タイヤの周辺には部品まで落ちている。
しかもよく見ると、そこはカーシェア用の車両だった。
一瞬、
「カーシェアって大丈夫なの?」
と思ってしまった。
でも、写真1枚だけでサービスそのものを責めるのは違う。
問題なのは、この車がどうしてこうなったのかだった。
私は近くに運転手がいないか周囲を見回した。
すると数メートル離れた場所で、若い男性がスマホを耳に当てながら何度も頭を下げていた。
「すみません……今、事故を起こしてしまって……」
どうやら運営会社へ連絡しているらしい。
少しして警察も到着した。
幸い、歩道にいた人や他の車を巻き込んだ様子はなく、運転していた男性にも大きな怪我はなさそうだった。
警察官が、
「どういう状況でした?」
と尋ねると、男性は青ざめた顔で答えた。
「出庫しようとして、ブレーキを踏んだつもりが……」
そこで言葉が止まった。
私は少し離れたところから見ていたが、男性の手はずっと震えていた。
さらに話を聞いていた警察官が、
「慣れていない車だったんですか?」
と確認する。
男性は小さくうなずいた。
普段ほとんど運転せず、この日久しぶりにカーシェアを利用したという。
ただし、事故原因についてはその場で断定できないため、車両の状態や周辺状況も含めて確認することになった。
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