75歳になった今、毎朝2階から足音が聞こえるだけで胸が重くなる。
7年前の私は、妻と5000万円ほどの貯金、月18万円ほどの年金で穏やかな老後を送っていた。
週末には一人娘のみさが夫と孫を連れて遊びに来る。
会うのは週1回。
その距離が、ちょうどよかった。
転機は、娘が住宅事情と子育ての苦しさを打ち明けたことだった。
夫の年収は約400万円。
娘もパート勤務。
そこで私は思った。
「二世帯住宅にすれば、みんな幸せになれる」
建築費は約8000万円。
私たち夫婦が4000万円を出し、残り4000万円は娘婿名義のローンにした。
1階は私たち。
2階は娘夫婦と孫。
完成した日は、本当に嬉しかった。
孫は毎日のように1階へ降りてきた。
娘は子育てを手伝ってもらえて助かると喜んだ。
だが、半年ほどで空気が変わった。
娘は少しずつ孫の世話を私たちに頼るようになった。
娘婿は帰宅後もゲームをしていることが多かった。
そして私たちが最も気になったのが、生活習慣の違いだった。
夜遅くまで続く物音。
散らかった2階。
廊下にたまる埃。
ある土曜日、娘一家が外出している間に、私は2階を掃除した。
帰宅した娘に注意すると、娘婿が言った。
「勝手に部屋に入られるのは困ります」
娘も続けた。
「毎日監視されているみたいで嫌なの」
その言葉に、私も感情を抑えられなかった。
「この家には、私たちだって4000万円出しているんだぞ」
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