毎月末、私はクレジットカードの利用明細を見ながら、大まかな家計簿をつけている。
細かく一円単位まで管理しているわけではない。
食費、日用品、光熱費。
だいたいどれくらい使ったか分かれば、それで十分だった。
その日も、ネットスーパーの注文履歴を何気なく開いた。
そこで、見覚えのない一件に気づいた。
6,280円。
米、レトルト食品、缶詰、洗剤、トイレットペーパー。
特別変わったものはない。
ただ、その週に私はネットスーパーを使っていなかった。
配送先を確認すると、住所も自宅ではなかった。
最初は夫が仕事関係で何か注文したのだろうと思った。
ところが過去の履歴を見ていくと、同じ住所への配送が何度もある。
毎月きっちりではない。
でも一、二か月に一度くらい。
半年、一年どころではなかった。
履歴を確認できる範囲だけでも、何年も続いている。
その夜。
夕食が終わる頃、私はスマートフォンを夫の前に置いた。
「これ、ちょっと聞いていい?」
夫が画面を見る。
「今月の6,280円。うちの注文じゃないよね」
夫の箸が止まった。
ほんの一瞬だった。
でも、何かを知っている反応だった。
「誰かに送ってるの?」
夫はすぐには答えなかった。
やがて、
「……秋山さんに」
と言った。
知らない名前だった。
「誰?」
「昔の知り合い」
「どんな知り合い?」
夫はまた黙った。
その態度に、少しずつ腹が立ってきた。
金額そのものではない。
知らない住所へ、知らない女性に、何年も家のお金から物を送っている。
それを私は一度も聞かされていない。
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