俺の名前は宗介、二十八歳。どこにでもいる普通の会社員だ。
四年前、同い年の雅美と結婚した。子どもはいないが、夫婦二人で穏やかな生活を築いているつもりだった。
ただ、俺の仕事には一つだけ大きな問題があった。
出張が多いことだ。
数週間家を空けることも珍しくなく、時には一ヶ月近く帰れないこともあった。もちろん、雅美には寂しい思いをさせていたと思う。
だからこそ、帰宅した時にはできる限り妻との時間を大切にしてきたつもりだった。
しかし、その努力がすでに意味を失っていたことを、その日の俺はまだ知らなかった。
長期出張を終え、疲れ切った体で自宅の玄関を開ける。
「ただいま」
いつものように声をかけるが、返事はない。
雅美なら「おかえり」と迎えてくれると思っていた。
だが、リビングには誰もいなかった。
代わりに、テーブルの上に二つのものが置かれていた。
一つは、緑色の用紙。
もう一つは、短い手紙だった。
嫌な予感を抱きながら用紙を手に取る。
そこには、雅美の署名が入った離婚届があった。
隣の手紙を開く。
そこに書かれていた文字は、あまりにも冷たいものだった。
『もうあなたとは暮らせません。今日でさよなら。探さないでください』
普通なら、動揺するところだったのかもしれない。
怒りや悲しみが込み上げても不思議ではない。
しかし、俺の心は驚くほど静かだった。
なぜなら、一ヶ月前から俺はある事実を知っていたからだ。
スマホを取り出し、短いメッセージを送る。
『了解した』
それだけだった。
俺は手紙をテーブルに置き、そのまま寝室へ向かった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=-aaMVJT4z-s,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]