半年前、私は夫の書斎を掃除していて、丸められた紙切れを見つけた。広げると、複数の金融会社からの督促状だった。夫の会社は表向き順調だと聞かされていたが、実際にはすでに自転車操業の状態だったのだ。
その日から、私は静かに証拠を集め始めた。夫の借金の実態、そして義母の名前が無断で使われた契約書のコピー。ある夜、書斎から漏れ聞こえてきた夫の電話の声が、私の疑いを確信に変えた。
「母さんの土地さえ手に入れば、借金なんてすぐ返せる」。母との同居を持ちかけたのは優しさからではなく、実家の土地が目当てだったのだと、私はそのとき初めて理解した。
義母の嫌がらせは日に日にひどくなった。母を「居候」と呼び、家事の些細な失敗を責め立てた。夫はそれを見て見ぬふりし、私が抗議するたびに「母さんも我慢してるんだ、お前が耐えろ」と繰り返すだけだった。私は表向き従順な嫁を演じながら、夫の書類を少しずつスマートフォンで撮影し、義母が母の部屋を漁る現場も記録に残していった。
そしてあの夜、義母が母を突き飛ばし、床に倒れ込ませた。夫は助けようともせず、スマートフォンを見続けていた。
私は怒鳴らず、ただ母の荷物をまとめ、すでに署名を済ませていた離婚届をテーブルに置いた。夫は鼻で笑った。「行く当てもないくせに、脅しのつもりか」。義母も横で「どうせすぐ泣きついてくるわよ」と笑い声を上げた。私は母の手を引き、振り返ることなく家を出た。
翌朝、夫のスマートフォンに一本の電話が入った。相手は、夫が担保として持ち出そうとしていた母の実家の件で連絡してきた金融会社だった。
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