口座の引き落とし通知を見て、いつもより金額が高いことに気づいたのは、先月のことだった。
いつもは6,200円のはずの月会費が、8,200円になっていた。
すぐにエステサロンに電話をかけて確認した。
「会員ランクの変更に伴い、上位プランの料金が適用されております」
そんな変更に同意した覚えはなかった。
「いつ、そのような案内があったんでしょうか」
担当者は少し言葉に詰まったあと、「先月の施術後に、口頭でご説明したかと」と答えた。
まったく記憶になかった。
次回の予約状況を確認すると、すでに上位プランのメニューで確定していた。
納得できないまま、次の来店日まで待つことにした。
当日、施術前にあらためて確認すると、担当のスタッフが、少し表情を曇らせて言った。
「実は、先月担当したスタッフが、体験を通じて、他のお客様と説明の内容を取り違えていたようで」
先月、同じ時間帯に、別のお客様が上位プランへの案内を受けていて、その記録と、私の施術記録が、システム入力の際に入れ替わっていたのだという。
「本来、上位プランのご案内は別のお客様に対して行われるはずでした」
つまり、私に対する案内自体が、そもそも存在していなかったということだった。
サロン側は、差額の返金と、今月分の会費を通常料金に戻すことを提案した。
「今後、案内の際は、書面でも控えをお渡しするようにいたします」
差額はその場で返金され、通常料金に戻った明細が、あらためて届いた。
あの「他のお客様」が、その後どんな案内を受けたのかは、こちらには知らされないままだった。