最初に診察室へ入ってきた時、30歳の男性患者は見るからにつらそうだった。
「頭がめちゃくちゃ痛いです」
「体中も痛くて……熱も下がらないです」
咳もある。
症状だけを並べれば、確かにインフルエンザのようにも見える。
指導医は研修医Bに、
「まず診てみて」
と任せた。
Bはインフルエンザと新型コロナの検査を確認した。
どちらも陰性。
「じゃあ普通の風邪?」
しかし血液検査を見ると、少し引っかかった。
白血球数は大きく上昇していない。
一方、CRPは20とかなり高い。
「これ、何かある……」
さらに胸部CTを確認すると、肺には肺炎を疑わせる陰影があった。
ここでBは最初から問診をやり直した。
「最近、旅行しました?」
「してないです」
「温泉とか、大浴場とか?」
「行ってないっす」
水環境との接触を確認したが、思い当たるものはない。
そこで何気なく質問を変えた。
「動物は?ペット飼ってます?」
患者はすぐ、
「飼ってないです」
と答えた。
だが、そのあとだった。
「でも……最近、友達の家に何回か行きました」
「動物います?」
「インコがいます」
Bの表情が変わった。
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