「息子がいない……!」
ユニクロで服を見ていた、ほんの数分のことだった。
さっきまで私の隣にいた5歳の息子が、突然いなくなった。
「ねえ、どこ?」
最初は近くの棚の裏にでもいると思った。
子ども服売り場。
試着室の前。
レジの周り。
少し離れたメンズコーナー。
どこを探してもいない。
名前を呼んでも返事がない。
さっきまで普通に手をつないでいたのに。
一気に血の気が引いた。
「まさか、お店の外に出た?」
入口を見ると、人が次々と出入りしている。
私はカゴをその場に置き、走った。
「すみません、子どもを見ませんでしたか?」
近くにいた店員さんに事情を話すと、すぐに特徴を聞かれた。
「5歳くらいです。白いTシャツに、グレーの半ズボン。黒いサンダルです」
店員さんはすぐ周囲のスタッフに声をかけてくれた。
私は店内をもう一周した。
5分。
たった5分なのに、ものすごく長く感じた。
「もし誰かについて行ってしまったら」
「もし外に出ていたら」
悪い想像ばかりが頭をよぎる。
半泣きになりながら、もう一度メンズ売り場を通った時だった。
少し離れたところに、不思議な後ろ姿が見えた。
白いTシャツ。
グレーの半ズボン。
黒いサンダル。
「……え?」
いた。
息子だった。
でも、なぜか動かない。
そして、その隣には大人の男性……ではなく、マネキン。
よく見ると息子は、そのマネキンの手をしっかり握っていた。
まるで親子みたいに。
私は一瞬、怒るのも忘れた。
「何してるの!?」
息子は振り返って、きょとん。
「待ってたよ」
「誰を?」
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