息子の三歳の誕生日。
その日だけは、どうしても家族と過ごしたかった。
私はここ数か月、仕事に追われる毎日を送っていた。朝早く家を出て、夜遅く帰宅する生活。休日でさえ会社から連絡が入ることもあり、妻の結衣には家事も育児もほとんど任せきりになっていた。
だからこそ、息子の颯太の誕生日だけは違った。
上司に何度も頭を下げ、午後から休暇を取ることができた私は、久しぶりに明るい気持ちで会社を出た。
駅前の洋菓子店に立ち寄ると、ショーケースには色とりどりのケーキが並んでいた。
私は迷うことなく、颯太が喜びそうな苺の乗った小さなケーキを選んだ。
店員にお願いして、チョコレートのプレートも付けてもらう。
そこには、
「颯太くん、三歳おめでとう」
と書かれていた。
その文字を見た瞬間、不思議と胸が熱くなった。
父親として、息子の成長を祝える幸せを改めて感じたのだ。
今日は家族三人だけで、静かで温かな誕生日会をする。
そう信じていた。
しかし、自宅の玄関前に立った瞬間、その期待は崩れ去った。
鍵を開ける前から、家の中から大きな笑い声が聞こえていた。
グラスがぶつかる音。
大人たちの話し声。
そして酒の匂い。
嫌な予感を抱えながら扉を開けると、玄関には見知らぬ靴が大量に並んでいた。
叔父、叔母、従兄弟たち。
母の親しい知人までいる。
まるで我が家ではなく、誰かの宴会場だった。
私はケーキの箱を持ったまま、しばらく動けなかった。
リビングへ入ると、その光景に言葉を失った。
テーブルには高級寿司、刺身、唐揚げ、ローストビーフ。
ビールや日本酒の瓶が並び、親戚たちは楽しそうに笑っている。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Vj_YJK3Rdfk,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]