佐藤さんは、都内で小さな会社を経営してきた。
派手ではないが、堅実に積み上げた資産は約8,000万円。
「相続税で半分持っていかれるのだけは避けたい」
そう考え、60歳になる前から準備を始めた。
選んだのは、誰もが知る方法。
毎年110万円、子ども2人に贈与
税理士に相談したわけではない。
ネットにも本にも「定番」と書いてあった。
振込日は毎年4月1日。
金額はきっちり110万円。
15年間、欠かさず続けた。
「これで3,300万円、相続財産は減った」
――そう思っていた。
父が亡くなったのは、74歳のとき。
葬儀を終え、相続税申告の準備に入った数か月後、
一通の封筒が届いた。
「相続税についてのお尋ね」
嫌な予感は的中する。
調査は想像以上に細かかった。
過去の通帳、振込履歴、贈与の経緯。
そして、決定的な一言。
「これは定期贈与ですね」
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