友人の誕生日会のために、駅前のレンタルスペースを予約したのは、2週間前のことだった。
当日は6人で集まり、21時にはケーキも食べ終え、みんなで片づけをして鍵を返却ボックスに戻した。
翌日、予約サイトから一通のメールが届いた。
「23時からの延長利用分として、5,500円をいただきます」
意味が分からず、すぐに問い合わせフォームから連絡を送った。
「21時には退室しています。延長の申請もしていません」
数時間後、サポートから返信が来た。
「システム上、23時07分に、お客様のアカウントから延長申請の操作が記録されております」
私は、自分のスマホの操作履歴を確認してみた。
23時台、たしかにアプリを開いた形跡があった。
けれど、自分でその時間に操作した記憶は、まったくなかった。
その夜、参加していた友人たちに、順番にメッセージを送ってみた。
「23時ごろ、誰か私のスマホを触ったりした?」
一人から、思い出したような返信が届いた。
「あ、もしかして。片づけの前に、あなたのスマホで、次回の空き状況を確認してって頼まれて、少し触ったかも」
聞くと、片づけの最中、私自身が「来月も同じ場所使いたいから、空いてるか見といて」と友人に頼んでいたという記憶が、少しずつよみがえってきた。
酔いも回っていて、詳しい経緯は自分でもあいまいだった。
友人は、空き状況を確認するつもりで画面を操作していたが、その途中で、誤って延長申請のボタンに触れてしまった可能性があるという。
私はそのやり取りをまとめて、サポートに再度連絡した。
「こちらの不注意で、誤操作があったようです。ただ、実際に延長利用はしていません」
サポートからは、実際の入退室記録と照らし合わせたうえで、請求を取り消すという返信が届いた。
友人には、あらためて「気にしないで」と伝えたが、しばらくの間、お互いに少し気まずい空気が残っている。