実家の片づけをしていたとき、押し入れの奥から、小学校の卒業文集が出てきた。
パラパラとめくっていると、最後のページに、見覚えのある字で短い一文が書かれていた。
「また、あの場所で」
書いたのは、当時いちばん仲の良かった同級生、ハルキだった。
彼は卒業と同時に、家庭の事情で遠くへ引っ越し、それ以来、連絡が取れないままになっていた。
「あの場所」がどこを指しているのか、記憶をたどってみたが、はっきりとは思い出せなかった。
その手がかりのないまま、文集をまた押し入れに戻した。
数か月後、地元の小学校の同窓会の案内が、実家経由で届いた。
半信半疑のまま、当日、会場に足を運んだ。
受付で名簿にサインをしようとしたとき、名札を渡してきた男性の顔に、見覚えがあった。
「もしかして、ハルキ?」
相手も、少し驚いた顔でこちらを見た。
「うわ、久しぶり。まさかここで受付やることになるとはね」
会が始まる前、二人で少し話す時間があった。
私は、実家で見つけた文集の話をしてみた。
「最後のページに、『また、あの場所で』って書いてくれてたの、覚えてる?」
ハルキは少し考えたあと、ゆっくりと思い出したように言った。
「ああ……あれ、裏山の秘密基地のことだよ。よく二人で行ってた」
小学生の頃、放課後によく二人で通っていた、裏山の小さな空き地のことだった。
引っ越しの直前、もう一度そこで会う約束をしていたが、引っ越しの準備が慌ただしく、結局果たせないまま別れてしまったのだという。
「あの約束、ずっと気になってたんだ。
でも、なんとなく聞きそびれてた」
同窓会の後、二人で、久しぶりにその裏山まで行ってみることにした。
空き地だった場所は、今は住宅が建ち、面影はほとんど残っていなかった。
それでも、二人でしばらく、その場所に立っていた。