休日の午後、私は空港方面から市内へ向かう電車に乗っていた。
車内は旅行客で混雑し、立っている人も多かった。
その中で不自然に空いて見える座席があった。
4人ほど座れる横長の席に、女性2人だけが座っていたのだ。
ところが近づくと、誰も座れない理由が分かった。
2人の周囲には、合計6個のキャリーケースが並べられていた。
大きな銀色のケース。
黒いケースが数個。
さらにバッグまで積み重ねられ、座席前の空間と通路の一部を塞いでいる。
荷物棚にはまだ空きがあった。
それでも2人はケースを動かそうとせず、スマートフォンを見続けていた。
途中の駅で杖を持った高齢男性が乗ってきた。
男性は空席を見つけたものの、キャリーケースが邪魔で入れない。
「すみません。こちらへ座りたいのですが」
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