「酒を頼まないなら、他の店へ行ってください」
店主にそう言われた瞬間、私は耳を疑った。
ゴールデンウィークの夜。
久しぶりに友人3人と焼き鳥を食べようと入った店だった。
しかし、入口には大きな貼り紙があった。
「当店は呑み屋です」
「すべてのお客様に、お酒の注文をお願いしています」
「水だけでよい方は、どうぞ他店へ」
正直、感じが悪いと思った。
友人の一人は車を運転している。
酒を飲めない人まで追い返すのは、さすがに横暴ではないか。
友人が店員へ尋ねた。
「運転があるので、ソフトドリンクでもいいですか?」
店員は申し訳なさそうに首を振った。
「現在はアルコール注文制になっています」
すると、焼き場から50代ほどの店主が出てきた。
「飲めないなら、今日は別の店へ行ってください」
言い方まで冷たい。
私はすでにスマートフォンを手にしていた。
貼り紙を撮影し、後で口コミへ書こうとさえ考えた。
その時だった。
若い男3人が店へ入ってきた。
空いている四人席へ勝手に座り、開口一番こう言った。
「とりあえず、水3つ」
店員がルールを説明すると、男の一人が机を叩いた。
「は?」
「客に酒を強制するとか、今の時代あり得ないだろ」
別の男もスマートフォンを向け始めた。
「これ撮ってるからな」
「SNSに載せて、この店を潰してやるよ」
店内の空気が一気に張り詰めた。
店主は怒鳴らなかった。
静かに、
「ルールに同意できない方には、料理を提供できません」
と告げただけだった。
だが3人は帰ろうとしない。
勝手に外で買ったペットボトルを机へ置いた。
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