「設置した瞬間が映っていない以上、誰かを疑うことはできません」
学生課の担当者は、机の上の写真を一度見ただけでそう言った。
大学のシャワー室から、同じ形の小さな金属製装置が二度も見つかっていた。
最初は床の隅。
二度目は、排水口の近くだった。
掲示板には赤字で、
「これは犯罪行為です」
「再発時はシャワー室を封鎖し、警察へ届け出ます」
と書かれていた。
それなのに、施設は通常どおり開放されたままだった。
「本当に大丈夫なんですか?」
私が尋ねると、担当者は声を落とした。
「大学の評判にも関わります」
「根拠のない情報を広めないでください」
私は耳を疑った。
危険を訴えることより、学校の評判のほうが大事なのか。
シャワー室を使う学生たちは、明らかに怯えていた。
一人では入れず、友人が外で待つようになった。
部活後もシャワーを諦め、そのまま帰る学生までいた。
そんな中、学内の匿名掲示板に一件の投稿が現れた。
《警告文を貼るだけの大学、次も見つけられるかな?》
続けて、こう書かれていた。
《三つ目は、もっと分かりにくい場所に置く》
背筋が冷たくなった。
私は投稿画面を保存し、すぐ学生課へ持っていった。
しかし返ってきたのは、また同じ言葉だった。
「投稿者と設置者が同一人物だという証拠はありません」
翌日、匿名アカウントは私を名指しした。
《毎回騒いでいる学生が一番怪しい》
《注目されたいだけの自作自演では?》
噂は一気に広がった。
廊下ですれ違う学生の視線が変わった。
「発見者が犯人って、よくあるよね」
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