その日、私は特に明確な考えを持って保護施設に足を運んだわけではありませんでした。ただ「ゆっくり見て回って、時間をかけて決めよう」と思っていただけです。感情に流されず、最初に目にした動物に簡単に引き寄せられることは避けたかったからです。自分にそう約束していました。動物を迎える覚悟を決めるためには、冷静に物事を考える必要があると感じていたのです。

しかし、時折、人生はそのような計画を簡単に覆してしまいます。私がその施設のガラスのドアを踏み入れた瞬間、すべてが変わりました。彼が、そこにいたのです。

小さな虎斑猫が、ガラス越しに私を見つめていました。大きな目をして、片方の小さな足でガラスを押さえているように見えました。その仕草はまるで、誰かを止めようとしているかのよう、いや、まるで私に何かを伝えようとしているかのようでした。少し首をかしげているその姿が、私の心を直撃しました。それは単なる好奇心ではなく、どこか「捨てられた動物だけが知る無言の悲しみ」が込められているようでした。

私は静かにその猫に近づきました。最初は後退しない彼。

ミャオミャオと鳴くこともなく、ただ私を見つめ続けていました。その眼差しには何かが込められているようでした。まるで「本当に私を見ていますか？」と問いかけているかのように。静かで、穏やかなその視線に、私は心を掴まれました。

保護施設の中には、たくさんの動物がいました。吠えたり、爪で引っ掻いたり、泣き声を上げて注目を求めたりする動物たち。

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