1ヶ月間、家族全員が心配し続けた猫が行方不明になった。あの日、何も知らずに家を出たその猫は、二度と戻らないのではないかと恐れていた。しかし、運命の巡り合わせか、その猫はある日、私たちの前に姿を現した。それは、亡き母を自宅に連れて帰ってきたのとほぼ同時のことだった。
その猫は、母が闘病生活をしている最中、ずっと家に居続けてくれた。
母と猫は、お互いに深い絆を感じていたのだろう。猫は、母の足元で丸くなって寝ていたり、母が椅子に座っているとすぐに膝の上に飛び乗ったりして、まるで母を癒すかのような存在だった。母もまた、猫に慰められることで、何度も辛い日々を乗り越えてきた。そんな猫が、1ヶ月もの間行方不明になったとき、家族の誰もが胸を痛め、どこかで猫が無事でいることを祈るしかなかった。
それから、月日が経ち、ついにその猫は戻ってきた。しかし、戻った猫を見て私は驚愕した。その猫は、以前のふくよかで元気な姿からは想像もできないほど、ガリガリに痩せていた。まるで長い間、過酷な環境で過ごしていたかのようだった。しかし、その姿が示すのはただの体調不良だけではない。
猫がこの1ヶ月間に経験した苦しみを私たちに伝えようとしているようにも感じた。
その日、母の体は既に弱っており、医師からの最期の告知を受けた後、自宅で安らかな時間を過ごすことを決めた。家族は母を寝かせ、母が穏やかに過ごせるように心配りをした。その間、猫は再び家の中に現れ、母の横でじっと寄り添っていた。猫が戻ったことで、私たちは何とも言えない安心感を得ると同時に、猫と母との深い絆が再び形になった瞬間を感じていた。
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