「乾杯!」
新幹線の車内に、まるで居酒屋のような大声が響き渡っていた。
「俺たち、本当に勝ち組だよな!」
「まさか全員が超大手グループに内定するなんてな。卒業旅行、最高すぎる!」
そう騒いでいたのは、同じ大学に通う三人の若者だった。
彼らは就職活動で成功し、誰もが羨む企業への切符を手に入れたばかりだった。未来は約束されたものだと信じ、自分たちは選ばれた人間だと思い込んでいた。
しかし、その自信は周囲への配慮を失わせていた。
車内はオフシーズンで比較的空いていたものの、彼らは指定席エリアを占領し、酒を飲みながら騒ぎ続けていた。
そこへ、一人の男性がやって来た。
名前は桂木茂。62歳。
長年、会社員として働き続け、現在も重要な商談のため全国を飛び回るベテランの営業マンだった。
その日は体調が優れず、本当なら休みたいほど疲れていた。それでも翌日の仕事に穴を開けるわけにはいかず、新幹線の指定席を取っていた。
桂木が自分の席へ向かうと、そこには先ほどの若者たちが座っていた。
「あの……すみません。そこは私の指定席なのですが」
桂木が丁寧に声をかけると、若者の一人が不機嫌そうに顔を上げた。
「は? なんだよ、おじさん」
「申し訳ありませんが、切符を確認していただけますか。そこは私の席ですので、移動をお願いできますでしょうか」
しかし、返ってきたのは謝罪ではなかった。
「指定席だから何だよ」
「後から来た人間に文句を言う権利なんてないだろ」
「世の中は弱肉強食なんだよ。早い者勝ちってこと」
さらに彼らは桂木を笑い、スマートフォンを取り出した。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Ih7fO2XZozQ,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]